【統計学】事故の危険を正確に調べたいなら、生存者の話だけで判断してはならない

死亡者の話を聞くことができないため、生存者の話だけで判断しては事故の正確な危険性を把握することができないからである。これを生存者バイアスという。生存者バイアスとは、選択過程を通過した事象についてのみ調査することで、選択過程を通過しなかった事象が見過ごされるという誤謬をいう。

 

第二次世界大戦中、統計学者のエイブラハム・ウォールドは、任務から帰還した飛行機について最も損傷が多かった箇所に装甲を施すのではなく、最も損傷が少なかった箇所に装甲を施すよう指示した

損傷が多かった箇所は、損傷しても致命傷とならずに飛行機が帰還できる箇所を意味し、損傷が少ない箇所は、損傷により致命傷となり飛行機が帰還できなかった箇所を意味するからである。エイブラハム・ウォールドの指示は、帰還した飛行機しか調査することができないという生存者バイアスを考慮したものである。

 

生存者バイアスは、事故に限らず、企業の財務業績分析等においても考慮しなければならない。